桜圃寺内文庫にかかる旧蔵資料の調査で、陸上自衛隊山口駐屯地にある防長尚武館に所蔵される寺内正毅・寿一関係資料の報告書を、前任校(山口県立大学)のCOC予算を活用して出しました。寺内文庫の旧蔵資料は、現在、山口県立大学附属図書館、山口県立山口図書館、防長尚武館、国立国会図書館憲政資料室、学習院大学史料館、慶南大学校博物館(大韓民国)に分蔵されていることがわかっています。このうち、尚武館のみ資料の所蔵状況が不明でしたが、今回の報告書によって、現時点で確認できる寺内文庫旧蔵資料の目録が揃ったことになります。
思い起こせば、2003年に前任校に着任し、その翌年8月に九州大学の先生方が寺内文庫を閲覧しに来られた際、初めて文庫を案内しその現状を知りました。文庫は、ハッキリ言えば決して良好な保存状態ではなかったため、その整理と調査の必要性を感じ、2005年から学内の助成金をとって、細々と文庫の環境整備を続けてきました。もちろん、私1人の力ではどうすることもできず、多くの皆様に助けて頂きました。結果的に、伊藤幸司編『寺内正毅ゆかりの図書館 桜圃寺内文庫の研究』(
勉誠出版、2013年)、伊藤幸司・永島広紀・日比野利信編『寺内正毅と帝国日本』(勉誠出版、2015年)を世に送り出すことができ、いままた伊藤幸司編『防長尚武館の寺内正毅・寿一関係資料』(東洋図書出版、2016年)を完成させることができました。ご協力頂きました皆様、本当にありがとうございます。
これで、一応、桜圃寺内文庫、さらには寺内正毅をめぐる研究を深化させる環境が整ったと思います。私としては、この3冊をもって私の寺内文庫三部作とし、寺内文庫の研究に一区切りを付けたいと思っています。約11年間、文庫に関わってきました。しかし、私自身、2年前に県立大学から九州大学へ転任し、物理的に文庫との距離感も生まれました。今後は、文庫に関しては後任の方にお任せし、私自身は後方支援にまわり、ライフワークとして文庫や寺内正毅について勉強していきたいと考えています。
そして、そろそろ本業である日本中世史や東アジア交流史の勉強に集中しようと考えています。とはいえ、これからも桜圃寺内文庫管理運営委員会の委員としての立場は変わりませんので宜しくお願い申し上げます。
